シスカムリン
Syskamrin

   
聞きなれないこの言葉はSystem(制度)・Keamanan(安全)・Ringkungan(近隣)の略で、その意味は文字通り「近隣安全システム」である。

インドネシア、特にゴットンロヨン(相互協力)の意思が強いバリ島では、各バンジャール(村を更に細分化した住民達の生活共同体)で、このシステムが強力に作用する。

その内容はどの様なものかと言えば、かつての日本でも行われていた隣組組織による自警団と同じ物といえる。各バンジャールでは、男達だけで1日単位であったり又は1週間単位であったりするがその月の当番を決め、当番に当る日に数人の男達が夜ともなると、懐中電灯、ラジオ、トンカット(棒)時にはクリス(短剣)等を持って、決められた村の一角にしつらえられた冒頭の写真の様な小さな小屋に集合する。

集まった男達は更に2〜3人一組のグループに分かれ、交代で寝静まったバンジャールの各家々や村の隅々を警備の為に巡回し、戸締りを忘れた家の門を閉めたり、家人が未だ起きていれば異常の有無を確認したり、バンジャール以外の人物を見かけたりすると尋問し怪しいと判断すると捕まえることもある。

持って来たトンカット(棒)やクリス(短剣)は相手に抵抗された場合に備えての物、ラジオやトランプカードは小屋に残って不寝番をする者達の退屈しのぎのための道具である。

バリ島内の各バンジャールでは常日頃全村民が顔見知りのため、同じ村の住民が空き巣コソドロを働くことはないため、シスカムリンで集まった男達も巡回時間以外は然程緊張した様子はないが、島を挙げての大きな祝日の前には、失業した出稼ぎ労働者達による空き巣やコソドロ等の小犯罪が増える傾向にあるため、彼等の責任の度合いが常に無く高まることになる。

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