合同火葬

バリ・ヒンズー教の葬儀、特に火葬は膨大な費用を要する。勿論その人の経済力や社会的地位によって異なるが、一般的には故人の年間所得の三年分に該当すると聞いたことがある。

一般的な庶民では家族が亡くなると直ぐに葬儀から火葬までを済ませることは困難なため、遺族は故人の遺体を一旦土中に埋め、村内の数家族が共同で火葬するか、又は身分の高い人の火葬が行われる時に合わせて同時に火葬して貰う方法で費用を軽減する等の方法を取っている。

この写真は私が経験した中で最も大掛かりなもので40体の合同火葬である。私は大学でのバリ文化の授業の一環として、ある家族の合同火葬に参加したが、その折、埋められて4ヶ月を経過した遺体を掘り返す作業も経験することが出来た。この合同火葬の時、最も長く埋められていた遺体は約5年であった。

掘り起こされた40の遺体は夫々の家族によって水で清められた後、真新しい白い布に包まれ祭壇に安置された後、僧侶の読経が行われ、その翌日、一箇所に集められた遺体に一斉に火が放たれると、天を焦がすほどの炎が上がる。これによって周囲の気温が急上昇するためか瞬く間に雨が降り始めた。

火葬の後は通常の火葬と同様に夫々の家族は、遺灰を海に流し故人の霊だけを自宅の寺に安置し、その一ヵ月後にはヒンズー教の総本山であるベサキ寺院に納めて葬儀に関する一連の儀礼を終了する。

バリ島の中央を南北に縦断する道を境に東と西では葬儀の方法に僅かな違いが見える。東では一旦埋葬した遺体は火葬の時に実際に掘り起こすが、西の地域では遺体を埋葬した場所の真上の地面を形式的に掘り、その土を遺品と共に火葬する方法が取られている。

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